住宅ローンの申込みから融資実行までの流れ
「事前審査」はなぜするのか
一般的にローンを借り入れるには、金融機関に申し込みをし、審査を受け、審査が通れば融資が行われます。大きな流れで見れば、住宅ローンも同じです。では、住宅ローンの特徴とはどういうものなのか、具体的に見ていきましょう。
住宅ローンは、通常は「借入額の返済ができなくなった場合には、担保である住宅を売却してローンの残債支払いに充てる」いう権利を設定することで、金融機関がお金を貸してくれるものです。この金融機関側の権利が「抵当権」です。
抵当権を設定するためには、その不動産を所有していることが必要になります。つまり、売買契約が完了していないと住宅ローンの申し込みができないということです。しかしそれでは、もしも売買契約後に申し込んだ住宅ローンが借りられないということになったら、せっかく購入を決めた住まいが買えなくなる可能性が発生してしまいます。
そこで、そのような事態を未然に防ぐために、住宅ローンでは多くの場合、事前審査という手順を踏みます。この事前審査によって、あらかじめ本審査に通りそうかを金融機関側が判断して、融資実行まで円滑に進むようにしているのです。
事前審査は、当然本審査よりも簡易的な内容になります。提出する書類も多くはありませんが、本人を確認できる資料、収入を確認できる源泉徴収票、購入物件の確認資料などは必要になります。金融機関によって違いがあるため、金融機関または物件の販売担当者に確認しましょう。事前審査の期間は短く、3~4日程度で金融機関から返答がもらえます。事前審査に通れば、購入物件の売買契約を締結して、正式な住宅ローンの借入れ申込みから、本審査を受けることになります。
「本審査」の主な審査項目
住宅ローンを正式に申し込むと、金融機関では本審査を開始します。本審査では、融資金額をきちんと返済できるのかを重視し、融資可否を判断します。具体的には次のような項目をチェックします。
【返済負担率】
「返済負担率」とは、収入に対する返済金額の割合です。住宅ローンは、最長で35年の期間をかけて毎月返済をしていくことになります。それだけの長期間の借り入れになるので、途中で返済不能に陥らないように、収入に比して返済額が過大すぎないかをチェックされます。
【勤務先、職種、雇用形態】
勤務先はどこで、職種は何か。また、正社員、契約社員などの雇用形態をチェックします。事前審査でも一旦確認しますが、本審査ではきちんと本人が勤務先に在籍しているかなどを提出書類と突き合わせてチェックをします。融資に際して、申請通りに収入の基盤がきちんとあるのかは最も重要な事項です。従って、勤続年数も確認項目の一つになります。
【他の借入】
クレジットカードの利用状況や自動車ローンなど他の借り入れ状況が調査されます。他のローン返済がある場合には、住宅ローンの返済が合わせてできるのか、といった点で不安が残ります。金融機関は信用情報というものを用いて、債務者にどのような借入れがあるのかをチェックすることが可能になっています。
万が一、他の債務に滞納が生じているとか、債務整理をしているような場合には、信用情報にその旨の記載がされているので、金融機関としては融資見送りという判断をすることがあります。
【健康状態】
多くの金融機関では、住宅ローン融資に際して「団体信用生命保険」(以下団信)への加入を条件としているため、団信が利用できる健康状態かどうかが重要な審査項目となります。団信とは、住宅ローン債務者が返済が難しくなるような健康状態に陥った(または死亡した)場合、住宅ローンの残債が保険会社により弁済される保証制度のことです。例外もありますが、事前審査の段階で健康状態に問題がないと判定され、その後も大きな変化がなければ、一週間程度で本審査もクリアとなります。万が一、長期のローン返済が難しい健康状態と判断され、団信への加入ができない場合には、加入を条件としている住宅ローンでは融資は見送られることになります。
本審査完了後の手続き
本審査に通ると、正式に金融機関と住宅ローン契約(金銭消費賃借契約)を取り交わすこととなります。この時点で最終的な金利が確定し、改めて融資条件を確認します。また、融資実行の日取りも決まります。
融資実行は、金融機関が売主の預金口座に売買代金の残高を振り込むことで行います。融資実行の日には、合わせて物件の引き渡しも行います。登記手続きも必要になるので、売主、買主、金融機関担当者、物件販売担当者、司法書士といった関係者全員が予定を合わせて集まることになります。
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